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Sustainable Fashion4 | サステナブルファッションの楽しみ方

2021年、世界では異常気象といえるさまざまな自然災害が起こりました。カナダ西岸では50℃近くの暑さが続いて森林火災が広がり、ドイツでは豪雨による洪水で町が水浸しに。世界気象機関(WMO)によると、ここ数十年で地球の気温が上昇したことで、世界の気象災害は50年間で5倍になったそうです。

これは決して対岸の火事ではありません。日本は今や、世界で4番目に気候変動のリスクが大きな国とされています。記録的な猛暑、毎年のように襲う豪雨と水害、秋になっても発生し続ける台風……地球温暖化が進む限り、こうした現象は今後も増え続けるでしょう。

こんな世界の現状に対して、個人ができる対策とは?すでに、レジ袋の利用を控えたり、簡易包装を選んだりと、身近なところから実践している方も多いかもしれません。ここでは、ファッションを通じて環境のためにできること――私たち一人ひとりがどのようにサステナブルファッションを取り入れていけるか、具体的なアイデアとともに考えていきます。

着るをもう一度考える


サステナブルファッションを楽しむ上で、いちばん大切なことは何でしょうか?それは、環境にやさしい服を買うことではありません。ムダな服を買わないこと、そして今ある服をいかに長く楽しみ尽くすかを考えることです。

リメイク、オーガニック素材、アップサイクルなど、サステナブルファッションにはさまざまな選択肢がありますが、ひと口に“環境にやさしい服”といっても、少なからず環境負荷を伴うもの。じつは、リユース、リメイク、アップサイクル系素材、オーガニック系素材、非プラスチック素材、プラスチック系素材の順番に、環境に与えるダメージが大きくなっていきます。

そうなると、究極的にサステナブルなのはリユースとリメイクですが、そもそも何を着るのか、自分自身の身にまとう服を見直してみた上で、“環境にやさしい服”を選んでいく必要がありそうです。それでは、具体的な方法について、「今ある服」と「これから買う服」に分けて詳しく紹介していきます。

今ある服を見直す


まずは、今所有している服を整理してみましょう。買ったのにほぼ着たことのないアイテムはありませんか?クローゼットに眠ったまま出番のない服たちを活用できる方法を考えてみましょう。トライしやすいのは3つの「R」=リユース(Reuse)、リメイク(Remake)、リサイクル(Recycle)です。

リユースする

使っていない服やまだ着られそうな服は、メルカリやラクマなどのフリマアプリに出品してみましょう。もともとお手頃なファストファッション商品はなかなか売れづらいものですが、ラグジュアリーブランドは比較的すぐに買い手がつきます。ほぼ新品のハレの日衣裳なども、次にいつ着るかわからないままクローゼットの中に閉じ込めているより、使ってくれる人の手に渡るようにすれば、それは立派な資源の有効活用です。

リユースの具体的な方法は、下記記事を参考にしてみてください。

リメイクする

トレンドが過ぎてしまった服やリセール(再販売)が難しいファストファッション商品など、リユースが難しいアイテムは、捨ててしまう前にリメイクしてみては?アクセントをつけてみたり、別の服と組み合わせて新しい一着に生まれ変わらせてみたり、布地を生かしてバッグや小物を作ったり……アイデア次第で、また新しい付き合いを始めることができます。

リメイクの具体的な方法は、下記記事で詳しく紹介しています。

リサイクルする

最近では、店頭で古着回収をしているお店をよく見かけるようになりましたが、集まった服が必ずすべて有効活用されるわけではありません。別の記事でも触れたように、化繊や混合繊維の多い衣服はリサイクルしづらいため、リサイクルは最終手段として頭の片隅に置いておきましょう。リサイクル=良い、というイメージがありますが、再資源化する過程においても水質汚染やCO2排出をゼロにはできないのです。

大切なのは、私たちの暮らしはこうした環境ダメージやさまざまな犠牲のもとに成り立っていることを意識し、そのダメージをいかに減らせるかを考えていくこと。

下記記事でリサイクルの具体的な方法を紹介していますので、役立ててみてください。

これから買う服を考える


服を選ぶとき、「環境にやさしいこと」に主眼を置いてしまうと、現状では選択肢がかなり狭くなってしまいます。ファッションの楽しさを我慢せず、自分らしさを表現できるものの中にサステナブルファッションを取り入れられたら、それが理想的ですよね。ここでは、ヒントになるアイデアをいくつか紹介します。

リフューズする

リフューズ(拒否)とは、「環境ダメージになるアイテムを選ばないこと」ですが、入り口としては少し難しそう。買う服に迷ったら、「どんな服だったらムダにせずに楽しく着尽くせるだろう?」と自分自身に問いかけてみてください。興味はあるけれど似合うかどうかわからない、というときは、フリマアプリやレンタルサービスを活用してみるのもいいでしょう。また、サイズが合わずに捨ててしまうことがないよう、試着して確かめることもひとつの方法です。

長く使う

できるだけ長く着られる服を選びましょう。たとえば、たくさん洗ってもヨレにくい上質なものや、素材の経年変化を楽しめるもの。また、スーツやドレスなどのフォーマルウェアは、きちんと手入れすれば長持ちします。一着の服を今よりもう1年長く着るだけで、日本全体でなんと4万トン以上の廃棄量の削減につながるとか。

一着を長く着るためのTipsは、こちらの記事でも紹介しています。

服の背景やブランドを知る

手に取った服やアイテムがどうやって作られているか? その背景を少しでも知ることから始めてみましょう。とはいえ、タグを見てもわかるのは「Made in ◯○」くらいで、一着の服ができあがるまでの過程やコストは非常に不透明です。

しかし、最近は製品のストーリーを丁寧に伝える企業も増えており、日本の「10YC」のように生産者や工程ごとのコストなどを公開しているブランドも。“見える”ことは、納得できる一着を選ぶことにつながります。

また、ブランドを知ることも大切です。それは、企業の姿勢に賛同することもサステナブルファッションの一部だから。現状は、サステナブルファッションに真摯に向き合い、積極的な投資で努力しているブランドもあれば、自社利益追求のためにコストを最優先するブランドも数多くあり、対応には大きな差が生まれています。

どのブランドがどんなアクションを起こしているかを知りたくなったら、社会活動に関するレポートや、サステナビリティ報告書など、公開されている情報を集めてみましょう。Re:WEARでは、ラグジュアリーブランドからファストファッションまで、国内外問わずさまざまなブランドの取り組みを発信していきます。ぜひ参考にしてみてください。

サステナブルブランドを知る


環境や社会に配慮しながらも、こだわりのあるデザインで着る楽しみも発信する、サステナビリティ・コンシャスなブランドを紹介します。ここで取り上げるのはごく一部。気になるブランドを見つけたら、あなたのワードローブにぜひ加えてみては?

Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)

イギリス発のファッションブランド。数あるラグジュアリーブランドの中でもいち早くサステナブルファッションの重要性を提唱し、設立当初から動物や環境に配慮した活動を続けています。創業者のステラ・マッカートニー自身がヴィーガンということもあり、動物由来の毛皮や皮革は一切不使用。ヴィーガンレザーと呼ばれるアニマルフリー素材のほか、再生可能な素材開発にも力を入れています。製品だけにとどまらず、生産環境や輸送、店頭の照明エネルギー、包装紙に至るまで、包括的に環境問題に取り組んでいる企業です。

Patagonia(パタゴニア)

世界に熱烈なファンを持つ、アメリカの老舗アウトドアブランド。登山家のイヴォン・シュイナードが約50年前に創業して以来、環境保護活動や適正な価格設定で知られています。他社に先駆けてオーガニックコットンに切り替えたブランドとしても有名で、長年にわたってカーボンフットプリント(CO2排出量)を低減するための技術開発に注力しているほか、サプライチェーンにおけるフェアトレードを徹底するなど、環境にも社会にも優しい製造を行っています。また、最近では自社製品を長く使えるようにする中古販売・修理プログラム「Worn Wear」も展開しています。


RE/DONE(リダン)

2014年にロサンゼルスで誕生した、カスタムデニムを中心とするラグジュアリーブランド。長年ファッション業界で活躍してきたショーン・バロンとジェイミー・メイザーが手掛けており、Levi’sのヴィンテージジーンズをリメイクしたモダンなスタイルが人気を集めています。2016年からはカジュアルウェアのHanesと提携してリサイクルコットンを使った製品を展開するほか、おしゃれなフットウェアやアップサイクルドレスなど、ラインアップも徐々に拡大中。最近では、リサイクル素材を組み合わせたブランド初のスニーカーコレクションを発表しています。

Acne Studios(アクネ・ストゥディオズ)

ストックホルム発のハイファッションブランド。洗練されたデザインと丁寧な縫製を重視し、メンズ&ウィメンズのウェアやアクセサリーを中心に、長く愛用できる高品質な製品づくりを行っています。2020年9月には、過去のコレクションで余った生地や素材を再利用し、新しい服として生まれ変わらせるプロジェクト「Repurposed」を開始。不定期ながら毎回特定の加工や素材にフォーカスしており、これまでに残反をつなぎ合わせたデニム、ブラックデニムと赤いレザーを組み合わせたジャケットなど、唯一無二の存在感を放つアイテムが登場しています。

kentina(ケンティナ)

ニューヨークで活動するメイクアップアーティストKento Utsuboが手掛けるファッションブランドで、2019年9月にデビュー。「REWEAR YOURSELF(“着る”をもう一度考える)」をコンセプトに、個性を輝かせる一着を創り出しています。ファッションショーで使用する服は一部を除き、朽ちた洋服をリメイクして制作。ファッションにリユース・リメイクという選択肢がもっと広がるよう、販売だけでなくリメイクのノウハウを伝えることを重視しているブランドでもあります。当サイトRe:WEARは、その取り組みのひとつとして、コンセプトである「REWEAR YOURSELF」を国内、そして世界へと発信していくWebメディア。身につけるものを考えることから、未来をつなぐアクションを生み出すことを目指しています。

最後に

「何を着たらいいんだろう?」。そう考えてしまうのは、ひと昔前までは季節の変わり目や特別なイベントのときくらいだったかもしれません。けれど、ここ数年頻発する異常気象を体感するにつけ、これまでとは違った意味合いで「着る」を考えざるをえなくなってきています。着飾る楽しみを追求して進化を続けてきたファッションが、その楽しみを追い求めすぎたあまり、地球に大きなダメージを残してしまっているのですから。

私たちが身にまとう衣服は自分らしさであり、自分自身のステートメントでもあります。その日の気象に合わせて快適な服装をするように、地球環境や社会が少しでも快適になるような服選びへ。ファッションの自由な魅力が薄れることなく、永続的にその楽しさを享受できる未来へ。さあ、時代にフィットするサステナブルなファッションを楽しむために、Re:WEARと一緒にその一歩を踏み出してみませんか?

▼参考情報
本記事は有限会社ケイエイティが展開するサスティナブル岡山デニムブランドkentinaのコンセプトをお伝えするために執筆した記事となります。
▼参考文献
『アパレル業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』たかぎこういち著(技術評論社)
『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』仲村和代、藤田さつき著(光文社新書)
環境省 SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に
(https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
BBC NEWS「世界の気象災害、50年間で5倍に 経済損失は3.6兆ドル=世界気象機関」(2021/9/2)
(https://www.bbc.com/japanese/58417481)
Newsweek「日本は世界で4番目に気候変動のリスクが高い国に 台風・豪雨影響」(2021/9/10)
(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/09/4-152_1.php)

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