Recycled Wool|ウールを買うなら、リサイクルウール1択な理由
繊維を作るのに生きた動物の毛を使用するウール。ウールは日本語では羊毛。羊の毛から作られた天然繊維のことをウールと呼びます。天然繊維であることからナイロンやポリエステルのような人工繊維と比較すると環境への悪影響も少なく、サスティナブルな繊維と言えます。
しかしながら、ウールを生産するためには羊を飼育するために資源を消費する必要がありますし、製造工程で排出される二酸化炭素量は他の繊維と比較するとダントツの1位(※1着あたりの二酸化炭素排出量:1位 ウール 23.4kg、2位 アクリル 19.8kg、3位 ビスコース 16kg、4位 コットン 14.9kg)なのです。これはウールを使用した衣料品を多く保有するノルウェーの環境団体「未来は私たちの手に」によるデータで、非常に衝撃的です。
では、ウールを使用するのはもう止めた方がいいのではないか?と思うかもしれませんが、今回のテーマであるリサイクルウール(再生ウール)を使えば問題解決です。ウールは約通常20~30年使用できるので、トレンドが終わって使えなくなったからといって捨てるのではなく、リサイクルする事ができる繊維なのです。また、リサイクルウールを製造する工程で排出される二酸化炭素量は、新たにウール(バージンウール)を製造する工程で排出される二酸化炭素量と比較すると非常に少ないのです。
大手アウトドア・アパレルブランドの「Patagonia」によると、同社の技術を使用し生産されるリサイクルウールの二酸化炭素排出量は、通常のウールと比較すると81%も削減できるのです。
そこで、今回はこのTOP OF サスティナブル繊維であるリサイクルウールについて、紹介していきたいと思います。
Contents
リサイクルウールとは?
リサイクルウールとは、余った毛糸や不要になったウール衣類などの毛糸を紡ぎなおし(反毛)した羊毛(ウール)の事です。日本では尾州地区(愛知県西部~岐阜県南部)がウールの産地として有名ですが、この尾州地区が作るリサイクルウールの品質の高さから海外の有名ブランドが使用するなど、尾州地区の技術は高く評価されています。
品質の劣化はないと前述しましたが、ウールの再生利用には非常に高い技術が必要になるのです。その理由を説明するにはリサイクルウール繊維の製造工程を説明しなければなりません。
リサイクルウールの製造工程
収集したウールを分別
集められた廃棄ウールを色や素材によって分別していきます。ウールといっても羊の種類によって毛質が異なり、繊維の細さ等によって種類が大きく異なります。一般的に使われているメリノウールはメリノ種という羊の種類からのみ作ることができるウールで高級ウールとして浸透しておりますが、そのほかにもロムニーやコリデールといった種類があり、こちらを細かく分けていく作業が発生します。また、ボタンやファスナーなどの副資材も取り外されて、リサイクルが可能な部分だけを残します。
実はこの工程、手作業で行われていることが多いのです。機械でやることも可能かもしれませんが、この工程にミスが発生するとリサイクルウールの品質に大きな違いが生じてしまうからです。
色や種類によって分別されたウールを細かく分断
分別されたウールは一定の量でロット分けされ、ウールにオイルを馴染ませ、生地を柔らかくしていきます。そして、機械に投入して裁断していくのです。複数の機械できめ細かく裁断されたモノがリサイクルウールの原料となります。
ここで疑問が生じます。この原料って色別に分かれてしまってるけど、リサイクルウールって色を塗り直すんじゃないの???そうなんです。ウールは脱色することが非常に難しい繊維なので、脱色して新たに染色することができないのです。
リサイクルウール製造において一番大切な調合
ウールの分別工程で、色によって分別していましたが、調合という工程で、できあがるリサイクルウールの糸の色を調整していくのです。違う色のウールを混ぜて狙った色のリサイクル糸を制作することを可能とする調合技術が非常に難しいのですが、50年前よりリサイクルウールの製造を行ってきた尾州地区にある工場でには長年の研究により、クライアントから依頼されて色合いを再現する調合技術を完成させているのです。
リサイクルウールの品質に大きな差が生じるポイントとしては、収集されるウール製品の色や種類がバラバラであるため、完成したリサイクルウールの糸の色や種類が安定しないことなのです。この問題を解消できるのが、尾州地区の調合技術で、世界から高く評価されているのです。
リサイクルウールのメリット
品質や手触りにおいて、バージンウールとリサイクルウールに違いはありません。ウール本来の保温性、伸縮性、撥水性を損なうことのないリサイクルウールは、地球環境に優しいサスティナブル繊維であることはメリットの一つです。
また、近年バージンウールは価格上昇傾向にあります。羊を育てるには資源が必要になりますので、物価の高騰するオーストラリアなどで生産されるウールが高騰するのは当然の結果です。一方で、リサイクルウールは加工するのに費用はかかりますが、物価の安い国で加工したりすることもありますので、バージンコットンと比較するとコストダウンにつながります。消費者にとってのメリットでもありますが、リサイクルウールは地球にも消費者にとってもメリットのある最強のサスティナブル素材なのです。
ウールをリサイクルしたい!
この記事を読んでいただき、私も使わなくなったウールをリサイクルにだしたい!と思って頂けると大変嬉しいです。私も使わなくなった衣服は全てリサイクルに出すようにしていますが、その方法をまとめた記事を紹介しますので、使わなくなったウールがあれば是非リサイクルに出してみてください。
リサイクルウールから始めるサスティナビリティ
今回はリサイクルウールについて紹介させていただきました。リサイクルウールは再生繊維の中でも特に地球環境にとっても消費者にとってもメリットの高い繊維です。製造原価に低い人工繊維等と違い、ウールなどの天然繊維はリサイクルすることでコストダウンにつながる可能性が高いのです。地球環境にとってリサイクルすることは非常に大切なことではありますが、リサイクルすることでコストアップにつながる原材料は市場から受け入れ難いものとなってしまいます。しかしながら、ウールはリサイクルすることで確実にコストダウンになります。
サスティナビリティの活動は一人の行動ではインパクトも少ないかもしれませんが、みんなが行動に移すことで大きな結果を生みます。その小さな一歩をウールのリサイクルから始めてみませんか。
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