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Recycled Polyester|ポリエステルを増やさないことが必要不可欠な理由

ポリエステルは、その製造過程において石油や水などの天然資源を消費し、環境に与える悪影響も多く、それらを軽減することがファッション業界に求められています。ポリエステルは伸縮性や耐久性、風通しの良さから非常に多くの洋服の原料として使用されております。実は、市場に流通する洋服の繊維の6割をポリエステルが占めているのです。

ユニクロのヒートテックシリーズにも3割程度使用されておりますし、パールイズミの「ヒートテックセンサー®」にも8割程度使用されております。私たちが普段購入する洋服の大半にポリエステルが使用されていると言っても過言ではありません。ポリエステルはファッションに欠かせない繊維のひとつとなっており、完全に切り離すことは現実的に不可能なのです。

プラスチックを原料としたポリエステルやナイロンなどが環境に与えるダメージは別の記事でも紹介させていただきました。

簡単に説明すると、プラスチックは自然消滅に400年以上の月日が必要な構造上の問題を抱える化学製品で、ゴミとして排出される量は海洋ゴミだけで年間800万トンと言われています。あくまで推定値であり、過去に排出したゴミの量などは計算することもできず、1億~2億トン程度と推測されています。海洋生物の総重量が8億トン程度と推測されるため、2050年には海洋生物の総重量を遥かに超える海洋ゴミが生じてしまうことになります。

海が汚くなるだけで、関係なくない?と思う方もいるかもしれませんが、プラスチックは生物にとって非常に有害で体内で消化することができないため、誤飲によって死亡する生物が後を経たないのが現状です。当然、人間にも有害で、焼却する際に発生するダイオキシンを吸い込むだけで完全に解明されているわけではありませんが、様々な病気を患う可能性が生じるのです。そんなものを食べてしまうと。。。

今回は、リサイクルポリエステルについて説明できればと思います。

リサイクルポリエステルとは?

ペットボトルやポリエステル繊維などのプラスチック製品は、主に石油を原料としています。石油も限りある資源であり、日本国内の石油はほぼ海外からの輸入をしています。そこで使用済みのペットボトルを回収し、プラスチック廃棄物から抽出したPET(ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム)粉砕し、フレーク状になったプラスチックをペレットという粉状にし、溶かして、綿(短繊維)にし新たな糸状のポリエステル繊維にしたものを化学系再生繊維リサイクルポリエステルと言います。

リサイクル開始当初は、ペットボトルの色分けなどに苦労をしたそうだが、今や500mlペットボトル800本でリサイクルポリエステル繊維を作り、約100枚のT-シャツを作成出来る事が可能となっていると帝人フロンティア(株)は発表しています。

リサイクルポリエステルの1番のメリットは地球環境に優しくペットボトル等のプラスチックごみの削減が可能になる事です。リサイクルポリエステル等が環境への負荷を0にするわけではありませんが、既に排出してしまった自然消滅が難しいプラスチックを再利用できるのです。

リサイクルポリエステルの歴史

リサイクルポリエステルは今や多くの製品に使われ、名だたるブランドはリサイクルポリエステルの使用比率を高めていっております。では、リサイクルポリエステルはどのようにして生まれたのでしょうか?

ポリエステル問題にいち早く取り組んだのはスポーツウェアブランド

私達の生活に欠かせない運動の際に身につけるウェアやシューズ、ボールやラケットといったスポーツ用品、人々がスポーツを楽しむために多くの資源が使われ、悲しい事に沢山廃棄されている事も大きな問題となっています。

このポリエステル問題にいち早く取り組んだのが、NIKEです。1979年のエアユニット技術開発を皮切りに、NIKEは業界のなかでも最も多くの再生ポリエステルを使用している企業でもあり、製品の75%に再生素材が利用されています。再生素材は、Nike Grindなどの新たな素材へと生まれ変わり、糸やシューズのソール、バスケットボールコートなど、ナイキが作る多くのプロダクトの一部となっています。

adidasも同様、回収したプラスチック廃棄物を最低75%使用し、PARLEY OCEAN PLASTIC糸という、未使用プラスチック同等の品質を誇る高性能のリサイクルポリエステルを使用して、さまざまなシューズ、Tシャツ、タイツなどコレクションを作成しています。

リサイクルポリエステルから生まれたブランド

パタゴニアをご存でしょうか?アウトドア・アパレル企業としてその名を世界で轟かせているブランドではありますが、実は設立当初はリサイクルポリエステルの製造を行っていたのです。1993年の創業からリサイクルポリエステルの製造をはじめたパタゴニアは、ペットボトルなどのゴミをフリースに変えた(再生させた)世界初のアパレル企業となったのです。

リサイクルポリエステル使ってないブランドなんてあるの??

多くのアパレル企業がリサイクルポリエステルの活用に努力を重ねており、生産コストも新規生産コストと変わらない程度まで落ちてきているのですが、残念ながらまだまだ浸透したとは言えないリサイクルポリエステル。調達量に限りがあったり、リサイクルポリエステルでは再現が不可能な部分があり、通常のポリエステルを使用しているブランドが多いのが現状です。

前述した再生素材の活用において業界をリードするNIKEでも、2015年のポリエステル使用量のうちリサイクル素材利用率は14%程度と言った状況で、100%リサイクルポリエステルの商品はまだほとんどないというのが現状ではないでしょうか。毎年8000万トンもの不要在庫を生み出し、焼却処分を行ってりるアパレル業界。過剰在庫を作るのを止めて、新たな再生素材やプラスチックの代替素材と言われるバイオ素材に投資を進め、脱プラスチック原料に取り組んでもらいたいです。

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