Recycled Leather|勘違いされがちなリサイクルレザーの魅力
リサイクルレザーと聞いて、合成皮革(人造皮革)をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、リサイクルレザーは全く別物です。リサイクルレザーは天然皮革の端材を集めて樹脂で固めて造られたもので、人工素材である合皮とは全く違うモノなのです。
今回は、実はあまり知られていないリサイクルレザーの魅力と環境への優位性について説明したいと思います。
リサイクルレザーって何?
リサイクレザーとは、皮革製品を製造する際に生じる革の余りや破片、くずなどを集めて粉砕しもう一度再加工してシート状の再生レザーにするというリサイクル製品です。 破片と言えど天然皮革の特徴はしっかり詰まっていて、 効能は普通の革とほぼ同じで、とても環境に優しい素材なのです。
リサイクルレザーを知らない人も多く、どうしてもフェイクと感じてしまう人も多いと思ます。
しかし、合皮とは、天然の布地に合成樹脂を塗布し、型押しをすることで、革の質感を人工的に作っている革の事を言います。ビニールやプラスチック素材と似ていて、水をはじくため汚れにくく革の質感を人工的に作っているため、本革のように見え品質にも、さほど差はありませんがリサイクルレザーとは、別物なのです。
アメリカやヨーロッパなどは、環境保全などの意識が日本よりもずっと高く、リサイクルレザーの製法は約70年前から始まっていると言われております。海外では、リサイクルレザーは人々の生活の中に溶け込んでおり、生活の一部となっておりますが、そもそもリサイクルレザーは消費者にとってどのような使用上のメリットとデメリットがあるのか説明していきたいと思います。
リサイクルレザーのメリットデメリット
リサイクルレザーのメリットとしては、廃材を使うという再生品なので廃棄ロスや環境、動物にも優しいといえます。天然皮革には出来なかったヴィヴィットカラーにも染色も可能で、価格も天然皮革に比べるとリーズナブルなのです。
その一方で、天然皮革みたいに使えば使う程、味が出ないという点ではデメリットに感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、余りなく使い切るという面と、環境保全に役立つとすればリサイクルレザーはメリットの大きい製品です。リサイクレザーは本革の廃材なので本革製品と同じ質感を感じることができ、価格帯もリーズナブルで、環境に優しいモノ選びの第一歩として試しやすい製品だと思います。
上記のようなメリットとデメリットがあるリサイクルレザーは近年、大手のラグジュアリーブランドからも注目を集めています。
リサイクルレザーを採用したブランド
誰もが1度は耳にした事があるブランド…YSLことSaint Laurent。YSLは環境への影響を最小限にするため、2年間による研究を経て開発されたリサイクルレザーを使用した、ショッピングバックを販売しています。また、Gucciもスクラップレザーの導入に取り組んでおり、Gucciのレザーサプライチェーンにおいて、廃棄物、水、エネルギー、化学物質の使用を抑える取り組みが進んでおります。
(参照:Gucci Equilibrium)
YSLやGucciのような大手ブランドまでもが、このような廃材の再活用に目を向け動き出した事は大きな前進であり、ファッション業界に新しい風が吹きだしているのです。
一方で、大手ブランドではないが、再生をテーマに躍進しているブランドもあります。廃材となる様々な製品を再生させていくプロジェクト「Makoo」。
アートを身近に感じられるリサイクレザーが有名で、ブランドを代表するリサイクルレザーを使って作られたバッグやノート、カードケース、コースター、ランチバック、トートバッグやドリンクボトルケースなどはリサイクル品の概念を大きく覆した商品です。
新しいものを買っては捨てるという行動に違和感があり、エコやエシカルという一時のブームに乗るのではなくて、『使い心地がいいからずっと使っていきたい』と思ってもらえるようなプロダクト作りが大切と考え、商品開発を行っているMakooのようなブランドがファッション業界の変革に大きく寄与しているのだと思います。
リサイクルレザーで廃棄ロスへ
環境に優しい素材に対する環境保全意識はまだまだに薄い日本ですが、リサイクルレザーのような、環境に優しく、消費者の財布にも優しい技術が台頭し、近い未来、環境に悪影響を与えているファッション業界から環境に優しいファッション業界に生まれ変わっていきます。
この変化を一時的なブームとして捉えるのではなく、ブランドも消費者もファッションがどうあるべきなのか?何を基準に選んでいくべきなのか?あらためて考えることで、一過性のブームではなく、持続可能な取り組みになっていくのではないかと思います。
ファッションをいつまでも楽しめるよう、無駄をなくし、環境に優しい選択をしていきましょう。
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