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Organic Cotton|オーガニックコットンを使用すべき3つの理由

オーガニックという言葉が浸透してかなりの月日が経ちました。その中でもオーガニックコットンの歴史は古く、1980年代に環境保全を目的として米国で誕生しました。多くの人がオーガニックコットンを愛してやまない状態にまで浸透し、オーガニックコットンをはじめとしたオーガニック製品がより多くの人に選ばれるようになりました。

オーガニックと聞くと、身体に良いというイメージを感じる人は多いと思います。しかし、オーガニックは単純に身体にいいだけのものではないのです。今回は意外と知られていないオーガニックコットンがなぜ推奨されるのか?その背景にあるオーガニックコットンのメリットについて説明したいと思います。

オーガニックコットンと普通のコットンの違い

実は、オーガニックコットンと一般的なコットンでは、その品質に大きな違いはありません。しかし、コットン(木綿)は食品ではないため農薬に関する規制がないため、大量の農薬が使用されてしまいます。直接食べるものではないため、人体への影響は大きくないと言われています。

アメリカにあるオーガニックコットンを普及する団体、Orovill Sustainable Cotton Projectによると、
世界のコットン畑では、世界の殺虫剤の使用量の25%が畑に撒かれている。世界のコットン畑では、防菌剤、除菌剤使用量の10%が撒かれている。1キロの綿花を収穫するのに5キロの農薬が使われている。
(参照:Maharanee Organic「1枚のコットンTシャツに使われる農薬量は?」)

Tシャツに450gのコットンが使用サれていると仮定するとなんと150gの農薬が使用されている計算となります。ちょっと恐怖を感じるレベルの農薬が使われていることが想像できてしまいます。また、土壌を汚染してしまい、不毛な農地に退化させてしまうことにもつながります。レギュラーコットンの栽培はサスティナブルと対極にあるといっても過言ではありません。

悪いとはわかっていても農薬の使用を止めることができないのです。木綿は本来害虫がつきにくい植物なのだが、収穫量を減らさないために大量の農薬を使用しているのです。ここで、「農薬を使用する必要があるのか?」という疑問が生じます。

オーガニックコットンの生産がはじまった本当のワケ

木綿は育てやすく、土地さえあれば比較的に簡単に栽培ができてしまいます。産業革命が起こりコットンのニーズが高まった時代、イギリスの植民地であったインドや黒人奴隷を利用したアメリカ、広大な土地を持つ中国などで栽培してきたが、労働力を安価な賃金で賄うことができる地域でコットンの栽培は続いてきたのです。

加えて、ポリエステル等の合成繊維などの安価で高機能な繊維との競争が激化した結果、コットンの価格は下落していったのです。こうして、少しでも収穫量を増やすために資金力のない農家達は設備に投資することもできず、安価な農薬に手を付けてしまったのです。そして、インドなどのコットン農家は今でも毎年2万人が農薬や殺虫剤によって死亡しているのです。

我々が使用してきたコットンの裏側で悲惨な状況が生まれているのです。このような農薬による死者を減らすために、無農薬栽培(オーガニック栽培)が米国からスタートしたのです。オーガニックコットンを生産する工程においては、レギュラーコットンと大きな違いがあります。

オーガニックコットンの生産工程

オーガニックコットンを生産するには、国際機関の(GOTS)グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダードによって厳しく定められ規定のもと、コットンを栽培をしなければなりません。

  1. 栽培する土地は、農薬や化学物質を2~3年以上まったく使用しない農地で、数年間は別のオーガニック農産物を作った土壌しか認めらていません。
  2. 化学肥料や農薬など、禁止されているため牛糞や堆肥などの有機肥料を使用しています。
  3. 除草剤の代わりに耕運機で草を埋め、殺虫剤の代わりにトウモロコシを育てて、害虫を食べてくれるテントウムシを増やしています。
  4. 収穫する際は、水を止め、霜がついて自然に葉が落ちるのをじっくり待ちます。

それと比べてレギュラーコットンはどうでしょう。
レギュラーコットンは、種を蒔く前に化学肥料や防カビ剤、殺菌剤の化学薬品が使用され。コットンが育ったら、雑草に栄養を取られないようにするための除草剤まいたり、害虫対策のためには殺虫剤がまかれ、そして、実がはじけたらすぐ収穫するために落ち葉剤をまき、効率よく栽培されています。

オーガニックコットンを生産する工程で使用する資源

オーガニックコットンが作られるまでに使用するエネルギーや資源は普通のコットンより少ないのです。実際にオーガニックコットン生産で使用する化石燃料は、通常コットンより明らかに少ないと判明しております。具体的説明していきます。

二酸化炭素等価放出量は通常コットンの場合より平均46%少ない

有機栽培では化学薬品の使用を制限しており、大多数のオーガニックコットンは発展途上国の小規模農家の手で栽培さているため、大量な燃料を使用する機械や灌漑用水を使用していないことによります。

使用水量は通常コットンに比べ、91%も低い

オーガニックコットンは主に自然の雨に頼り、灌漑用水は比較的少なくしているためです。コットンは、比較的干ばつに強い植物ですが、それでも大量の水を必要とし、特定の地域や気候によっては、とても脆弱で疫病の被害を受けやすく、そのため従来のシステムでは、大量の農薬と灌漑用水を使用しなければなりませんでした。従来のコットン栽培には、栽培地にもよりけりではありますが、水だけとっても約1キロ栽培するのに約1万から2万ℓもの水が必要です。

1万から2万ℓって言われてもピンとこない人も多いと思いますが、例えば、人が1日平均、300ℓの水を生活するのに使うとしたら約2か月分の水に相当します。

コットンを有機栽培することは、環境への悪影響を劇的に軽減させると共に、通常のコットンより環境に優しく資源の消費を抑えて生産されるため、気候変動緩和の問題解決の糸口になるでしょう。

オーガニックコットンとレギュラーコットンは栽培工程や使用する資源においての大きな違いは合っても、驚く事に、コットン自体には何の違いはありません。なぜなら、農薬を使用して栽培したコットンでも、繊維に変わる工程を経てしまえば、多くの農薬は取れてしまうからです。であれば、消費者にとってオーガニックコットンをわざわざ買う必要があるのか?(勿論、木綿農家のことを考えると、オーガニックコットンを買うべきではあります。)

オーガニックコットンを購入する消費者にとってのメリット

できあがったオーガニックコットンとレギュラーコットンの品質に差はないとお伝えしました。また、生産工程で付いてしまった農薬や殺虫剤も加工工程を経て、剥がれていくことは上述しました。しかしながら、加工工程においては多きな差が製品に生じます。

オーガニックコットンの製品は化学薬品の混入を厳しくチェックしている一方で、レギュラーコットンは加工工程において化学薬品を使用しても全く問題がないのです。オーガニックコットンは加工工程においても厳しくチェックされます。例えば、使用する染料も指定のものに限られるのです。生産工程で農薬、加工工程で化学薬品などが使われていなくオーガニックコットンは、肌の弱い乳幼児やアトピーの人にとって、低刺激性である事から多くの人から選ばれ使われています。

こうしたオーガニックコットンのメリットが皆さんに認知される事や、多くの企業がオーガニックコットンを取り入れた衣類品や、短期消耗品が活用販売されることにより、愛用する人が増え、大量生産が進み結果コストダウンにつながっております。しかしながら、流通しているコットンの内、オーガニックコットンが占める割合はたった1%に満たないのです。

(補足)オーガニックコットンを凌ぐサスティナブル素材「バージンコットン」

バージンコットン(Virgin Cotton/ヴァージンコットン)という言葉を聞いたことはありますか?
私はありませんでした。バージンコットンは別の記事で紹介させてもらった「リサイクルレザー」と全く同じ工程を経て生産されるリサイクルコットンのことです。工場でコットンを紡績加工する際に発生する未利用繊維(ラインから落ちて繊維にできなかったワタ)のことをバージンコットンといいます。通常だったら捨てられてしまいますが、品質的にも全く問題がなく、無駄になってしまうオーガニックコットンをリサイクルしたコットンなのです。サスティナブル素材の象徴みたいな存在なのです。

ちょっと高いけどオーガニックコットンを選ぼう

沢山の努力や時間から生産されるオーガニックコットン。
①肌に優しい、人体に優しい。そんな消費者のメリット。②農薬で農地・農家を破壊しない。そんな生産者側のメリット。そして、③省エネで生産されるという地球への優しさ
。オーガニックコットンはレギュラーコットンより高いという欠点はありますが、それ以上のメリットがあります。全てのコットンがオーガニックになるように。

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