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ECONYL|海洋ゴミが生まれ変わる?新しいナイロンが世界を変える

近年、PRADAなどの大手ブランドがECONYL®(エコニール)という新ナイロン素材の使用を開始しています。ECONYLは従来のナイロンではなく、海から回収された、プラスチック廃棄物、漁網、繊維廃棄物を再利用、浄化して作られた新たなナイロンの事で、繊維メーカーであるAquafil社が開発した新素材のことです。

通常のナイロンは石油を原料としているため、採掘に多くのエネルギーを要し、原油流出や廃棄物の排出といった公害問題を生み出します。一方でこのECCONYLは、石油を原料とした製品の廃棄物を利用した再生合成繊維となるため、廃棄物の回収と公害問題の解消といった2つの環境問題を同時に解決してしまう素晴らしいサスティナブル繊維なのです。

また、ECONYLの糸は品質を損なうことなく無限にリサイクルでき、これがナイロン生産工程に革命を起こしているのです。そこで今回はECONYLについてと何故それが革命的なのか、説明していきたいと思います。

ECONYLが革命的な理由

今や世界中で社会的大問題になっている海洋汚染問題。2019年に開催されたG20の会議よると、プラスチックごみの数は年間約500万トンから1,300万 トンに及び、2050年には120憶トン以上のプラスチックごみが自然に投棄されると言われている。

これは、海洋における魚類の生物量が約8億トンなので海の生物の数を大きく上回る事となります。近年よく目にする、浮遊しているカメに漁網などが引っかかってていたり、打ち上げられた魚の体中から出てくるビニールや大量のプラスチックゴミ。

フィリピン南部ミンダナオ島ダヴァオの東沖で死んだいたクジラの胃の中からは40kgものプラスチックごみが検出されたと、BBC NEWSによって報道されました。また、コロナの影響で使い捨てマスクが大量消費されているが、このマスクもコットンではなくプラスチックが使用されており、イルカが誤飲して死亡してしまった例が何件も報告されています。

それだけではなく、私達が知らないだけで、日本の世界へのプラスチックごみ輸出量は年間143万トン(2017年現在)と世界第3位のプラスチックごみ輸出国でもあり。多くのプラスチックごみが浮遊し岸辺に打ち上げれられています。

2018年バリのビーチには大量のビニールを含む可燃ゴミが打ち上げられ、2019年はスマトラ島浅瀬に大量のゴミが浸かっていることもわかった。これはほんの一部であり、もっと多くの国や海でこのような現象が日常的に起きている今、開発されたのがECONYLなのです。

ECONYLを使用する事により、海から回収されたプラスチック廃棄物、漁網、繊維廃棄物を再利用でき、
ECONYL生産量1万トン当たり

  1. 7万バレルの石油消費減少(8割削減)
  2. 約5万7千トンの二酸化炭素排出を削減

といった海洋汚染問題だけではなく、エコで地球環境にも優しいECONYLが社会にもたらすメリットはまさに革命的なのです。大手ファッションブランドも海洋汚染問題に着目しており、ECONYLを使用したファッションラインを導入しています。

大手ファッションブランドがECONYLを採用

多くのブランドが漁網や布の端切れ、工業用プラスチックなどを再生した環境に優しいサステイナブルなナイロン糸”ECONYL”を使用した新たなコレクションをスタートさせています。今回はPRADA とBURBERRY、GucciのECONYLを活用したコレクション紹介をしていこうと思います。

PRADAはECONYLを活用したコレクション「Re-Nylon」で、ナイロン生産に向けた接続可能な方法への取り組みを発表しました。

ECONYLの糸は、品質を損なうことなく無限にリサイクルできます。さらに、PRADA GROUPは意識向上と責任の重要性に対する裏付けとして、Re-Nylonバッグの売り上げの一部は、環境の持続可能性に関連するプロジェクトにも寄付しています。2021年末にすべてのバージョンナイロンをRe-Nylonにする事を最終目標にし、新たな資源を使用することなく生産する事が可能になると語っています。


<参照元:プラダがRe-Nylonプロジェクトを開始

BURBERRYも同様、漁網や布の端切れ、工業用プラスチックなどを再生した環境に優しいサステイナブルなナイロン糸、ECONYLの使用を開始しました。


フレッシュなアレンジが効いたバーバリーのヘリテージトレンチやカーコート、ロゴをプリントしたオーバーサイズケープやフリース裏地付きダウンジャケット、リバーシブルなボマージャケットなど、新作カプセルコレクション発表しています。
<参照:THE ECONYL® COLLECTION

Gucciは2020年7月にECONYLを活用したコレクション「GUCCI OFF THE GRID」を発表しました。
GUCCI OFF THE GRIDは、ECONYLのみならず、オーガニック素材、再生素材やバイオテック技術を駆使した原料を使用するなど、サスティナビリティを徹底して追求したコレクションといえます。


<参照:GUCCI OFF THE GRID

ECONYLから始まるサステイナビリティ

このようなプラスチック等の海洋ごみを使って、新たなファッション製品が生まれる事によって海洋’汚染など環境破壊が少しずつ緩和されるのではないかと思います。先日、ZARAに出かけ時にも「TRF JOIN LIFE」というリサイクルポリエステルを使ったコレクションを目にしました。多くの人がこのような製品を知り、試す事によって、企業だけではなく、私たちが目標とするSDG’sの活動に一歩近づけるのではないかと私は思います。

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