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4R|地球環境を変える4つのサスティナブルな視点

ポリエステルやナイロンなどは石油(プラスチック)を原料とした合成繊維で、製造過程や使用過程において非常に大きな問題をかかえる繊維の一つです。製造コストが安価で耐久性などにも優れたプラスチックですが、地球環境を蝕む悪魔の様な存在なのです。

年間に世界中で排出される海洋プラスチックごみは800万トンにもおよび、このままのペースで増えていくと30年も経たない未来に全海洋生物の重量を超える海洋プラスチックごみが地球にとって大変貴重な海という資源を埋め尽くすのです。

プラスチック製品が及ぼす環境問題

プラスチックは分解されるのに時間がかかります。どれぐらいの時間がかかるのか、実はまだわかっていないのが現状です。太陽光を浴びて、熱により分解が進みますが海などに流れてしまい、海面に浮いていれば数百年経てば分解されるというデータもありますが、海中に沈んでしまえばほぼほぼ分解されずに残ってしまい、海中生物が食べてしまうのです。

プラスチックが自然消滅しないということをご理解頂いたうえで非常に怖いこと事実をお伝えします。

プラスチックを焼却すると何が悪いの?

プラスチックを燃やすと、有毒ガス(ダイオキシン)と二酸化炭素が発生します。ダイオキシンは生体のホルモンバランスを崩す環境ホルモンの一種で、人間にとって有害です。このダイオキシンですが、最近の焼却技術によって多少は軽減することができるようになりましたが、完全に発生を抑制できる技術は確立できておりません。また、二酸化炭素に関しては地球温暖化の原因と考えられています。

日本ではプラスチックの分別回収文化が浸透しているため、775万トンがリサイクルされ、76万トンが焼却され、52万トンが埋め立てに使用されています。日本は非常に優秀で、プラスチック焼却技術などがない発展途上国などではその大半が海洋ゴミになったり、放置されています。実際に、廃プラの80%以上が“不適切な廃棄物管理”される国・地域が41あると発表されている。では、日本はそんなに心配しなくていいのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、日本は一人あたりのプラスチック消費量が世界で2番目(1番は当然アメリカです)に高いのです。

プラスチック生産量(生産量は世界第3位)の多い国なので、リサイクル率が高いからと言って安心することはできません。しかも、プラスチックはリサイクルをしたからと言って環境への負荷が消えることはないのです。

プラスチックはリサイクルしても環境への負荷はなくならない

ポリエステル等洋服にはたくさんのプラスチック原料が使用されていますが、このプラスチックをリサイクルして使用しても環境への負荷が無くならないということが最近の研究でわかったのです。ダブリン大学をはじめ、オーストラリアやカナダなど世界各国の大学の科学者たちによると、ポリエステル製品を洗濯するとその排水にマイクロプラスチック繊維が放出されてしまい、この微小なプラスチックゴミをプランクトンなどが食べ、そのプランクトンを我々が食べる魚が食べてしまうため、人体への影響が生じるのです。

ポリエステル等の原料になるプラスチック。このプラスチックを減らすことができるのか。これがファッションを楽しむ消費者である私達が考えるべき命題になることをご理解いただけたと思います。それでは我々が如何にプラスチック製品と向き合うべきなのかについて説明できればと思います。

プラスチック製品とどのように向き合うべきか

プラスチック原料はファッションに欠かせない存在になっておりますが、その危険性は上述した通りで我々人間の生活を脅かす存在にまでなっているのです。そんな危機的な状況を回避するための具体的な方法が以下になります。

  1. Reduce リデュース (削減)
  2. 企業はポリエステル等のプラスチック合成繊維の使用を控えよう!

  3. Reuse リユース (再利用)
  4. いらなくなった商品は古着屋に売ったり、友達にあげたりして有効活用してもらうと同時に自分も積極的に古着などを買ってみよう!

  5. Recycle リサイクル (再資源)
  6. ボロボロになって汚くなった服はリサイクル処分しよう!

  7. Refuse リフューズ(断る)
  8. いらないものは買わない!もらわない!使わない!

①Reduce リデュース (削減)

リデュースは主に、生産側である企業側の責任になります。製品を生産する過程で、なるべくプラスチック製品を使用しないことが非常に重要になります。安価で耐久性が高いプラスチック原料は非常に多くのものに使用されますが、コスト増につながっても環境の事を考えて、代替資源を活用するブランドも増えてきました。

アディダスのように可能な部分には全てリサイクル資源を使用すると謳っているブランドもあります。また、ユニクロやグッチなども積極的にリサイクル資源を活用していたりと、ラグジュアリーブランド・スポーツブランド・ファストファッションブランドを代表する企業はこのような取組みを進めております。


リサイクル資源を活用するブランドを消費者が選ぶことで、プラスチックゴミの排出を削減することができるので、この様な視点でブランドを選んでみてください。

また、アパレル産業が抱える問題の一つでもある過剰在庫問題。これは非常に深刻な問題で、消費者が流行を意識しすぎることで企業がトレンドを取り入れた衣類を過剰に生産してしまい、消費されずに処分されてしまうのです。結果として、世界で毎年8000万トンもの繊維商品が焼却・処分されてしまっているのです。

「在庫を必要とするバイヤー」と「処分したいサプライヤー」のマッチングプラットフォームSMASELL(スマセル)を運営する株式会社ウィファブリックいわく、

国内では、年間約170万トンの繊維廃棄物が発生していると言われます。この中には、繊維製造現場や縫製・アパレルの現場から出る裁断屑、残糸、捨て耳、不良品、整理加工などから発生する廃棄物などが含まれています。これらは、全廃棄物の約2%を占める量です。

このような問題を解消するために上述の企業やアパレル企業の不要在庫を買取り、再販する「Shoichi」のような企業が誕生しているのです。非常に面白いビジネスモデルでサスティナブルな取組みだと思います。一方で、そもそもの問題である「過剰在庫」を生産する企業は環境への負荷に対する責任を取るべきだと思いますし、トレンドを追求しすぎる消費者も消費のあり方について責任を持つべきだと思います。

②Reuse リユース (再利用)

こちらは別の記事でも紹介させていただいておりますが、古着などを積極的に購入したり、リペア、リメイクと言った方法で一度生産された洋服を長年使える方法を駆使することで実現できます。アメリカでは「ATELIER & REPAIRS(アトリエ アンド リペアーズ)」などの古着を回収してリメイクしてオンリーワンの商品を販売するリメイクブランドが有名になってきています。このようなブランドであったり、リサイクルショップなどで購入することで資源を有効活用することも大切です。

③Recycle リサイクル (再資源)

リサイクルすることで環境への負荷がゼロになるわけではありませんが、ゴミになってしまうプラスチックを再生利用することが可能になるので、決して無駄になるわけではありません。使えなくなったプラスチックゴミはなるべく「燃やすゴミ」ではなく、リサイクル(分別資源ごみ)に出しましょう。ユニクロなどは自社製品の回収を店舗で行っています。回収された衣類はリサイクルされ、新たなユニクロの商品に生まれ変わるのです。詳しくは下記記事を読んでみてください。

④Refuse リフューズ(断る)

2020年7月より、日本でもビニール袋が有料化されました。有料化することが目的ではなく、プラスチック使用量を削減することが目的で、素晴らしいアイディアではあるものの有料化というメッセージが先行してしまい、その背景にある目的が浸透されておりません。

有料化されることで、今まではビニール袋の受け取りと断ることなんてなかったと思いますが断るという選択肢が増えると思います。私も飲み物など、手で持てるものを購入した際にビニール袋を断ったりしてきましたが、7月からはエコバッグを常に持って外出するようになりました。このような取組みがビニールバッグ以外のプラスチック製品にも導入されて、リフューズという新しい習慣が生まれることを期待しております。

4Rから始まる新たなサステイナブルライフ

プラスチックは設計において失敗作。この地球上に存在すべきではない異質な物だ。
ーParley創設者 シリル・グッチ氏

今の私たちの生活に必要不可欠であるプラスチック。
テクノロジーによって環境への負荷を軽減することもできますが、私たち消費者ひとりひとりの行動が非常に重要になってきます。プラスチック製品を購入し続けてしまうと、経済市場原理から企業はプラスチック製品を生産し続けてしまいます。環境汚染を続けるアパレル企業がいかに環境負荷を減らせるかの鍵をにぎるのは企業だけでなく消費者の行動であると言えます。

私たち消費者の行動が変わるとファッションラインが増え、私達の商品を選ぶ幅も増え、地球環境にも優しく、私達と地球のWIN WINな関係が築けていけるのではないでしょうか。

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